スペインのプリミティヴなチョコレート 

2010/06/03
ヨーロッパでチョコレートがはじめて飲まれた国スペインのチョコラーテ

チョコレートの歴史を遡ってみると、
中米アステカス帝国から最初にカカオがもたらされた国〜スペインに行かないわけにはならなくなって…
いくつかスペインでチョコレートに縁のある地を訪ねました。


まずフランスとスペインにまたがるバスク地方。
(フランスにはじめてチョコレートが伝わった地もバスク)

トローサという町のゴロチャテギというお菓子屋さんのチョコラーテはほろ苦くて濃厚☆
ミルクっぽさをほとんど感じないビター感は、隣接するフランスバスクで飲んだものとは全然違う!

またここにはお菓子博物館があり、
アステカ帝国から持ちこまれたカカオ豆を炒ったり擦ってペースト状にする道具(メタテ)の他、
ユニークな道具がたくさん展示してあります。
チョコラーテをいれるためのポット、型、
そして手前にあるのは馬の形のチョコレート用カッター。

板状チョコレートを馬の腹の下に挟み置き、
しっぽのハンドルをてこにしてトントン刻み、
それを開いている手前の口からポットに入れて溶かす。
なんとも洒落たカッターです☆
こちらはバスクの海岸沿いにある町のショコラ&お菓子屋さんのカフェで飲んだチョコラーテ。

なんとパウダーもの! でも味わいはとろんと濃厚です。
(↑左の赤と黒のパックがそれ)

CHOCOLATE CASERO
うちのチョコラーテ

そう書かれたチョコレートマシーン。

スペイン西部レオンの町のカフェで見つけ
レオン名物!?ふわっと軽い聖イシドロのパイ菓子とともに、この日の朝食としました。
チョコラーテはバスクのより甘く、やはりとろとろ。
レオンは巡礼ルートの中では大きな町、ここの5つ星パラドールは有名だけれど、
町全体はバスクより素朴な雰囲気が漂う。
バター入りのチョコラーテにも、そんな田舎っぽさが感じられました。
レオンからは西に巡礼ルートを辿りアストルガに向かいました。

アストルガを訪れる日本人は大方アントニオ・ガウディの設計した司教館見学が目的ですが

私のお目当ては専らチョコレートとチョコレート博物館!

メキシコから届いたカカオ豆を‘飲む’チョコレートに加工する工場が最初に造られたのがここアストルガ。
かのナポレオンも遠征時、ここで飲んだチョコレートの味が忘れられなかったそう。

その後次々と工場ができチョコレートの町となったアストルガ。
目抜き通りのチョコレート屋さんやお土産屋さんには、
様々なメーカーのチョコレートが並んでいますが、どれもが素朴そのもの。
バスクやバルセロナの前衛っぽさが嘘のようなレトロでローカルなデザインが返って笑えます。

ところが今やアストルガに工場を構えるメーカーはたった一軒!
(他は委託製造ということらしい)

そう話してくれたのは、お土産屋さん兼チョコレートカフェのおかみさん。
町で唯一、昔ながらのやり方でカカオ豆からチョコレートに加工するメーカー
Choco Dulce Cabezas のチョコラーテを飲ませてくれるカフェでのひとこま☆


とろみは濃いけれど、味はミルク多めで甘いチョコラーテは、
遠い昔の味、そしてメキシコの飲むチョコレートを連想させます。

おかみさんおすすめの楽しみ方は、
もうひとつのアストルガ名物マンテカダスをチョコラーテに浸しながらいただくこと。

カステラの原型ともいわれる四角い紙型に焼かれた菓子は、ふんわりほろほろ崩れる、
バター風味のどこかノスタルジックな味。
子供の頃、おやつで食べたことがあるぞ!と錯覚するのも、カステラ文化でつながっているからかしら〜。

マンテカダスは温泉饅頭のごとく、この小さな町に製造工場や売店がひしめいていました。
その勢いといったらチョコレート以上!
アストルガをはじめスペインの伝統的なドリンキングチョコレートは、
ひとつのバーが分厚くて固く、潰れきっていないグラニュー糖がジャリジャリ、
おまけに原材料を見ると小麦粉入り!!
だから牛乳や水を加え鍋で火を通すととろみがつくのですね〜。

あっ、写真右の包装紙デザインを良く見てください。
バスクのお菓子博物館で見たチョコレートカッターが描かれています!

ここでは道具がアンティークになっても、チョコレートは昔のままなのかしら…。


(2007年秋の旅より)
by fruitsnoirs | スペイン旅&食 

スペイン・バスク地方のクワハダ作り☆ 

2010/05/25
唐突ですが…

今まで貯めてしまった旅のお菓子のことなど書かなきゃと、
過去の下書きや写真を引っ張り出してみることにしました。
まぁ私のことなので、気まぐれ更新になると思いますが、できるだけ。

***

まずは2007年秋のスペイン・バスク
カセリオという伝統的な農家の民宿に泊まったときのこと。


最近の日本はちょっとしたバスク食ブームのようで、
バスク豚やその生ハム、エスプレット唐辛子、ガトーバスクなどが紹介されていますね。

食べ物の美味しいバスクはフランスのチョコレート発祥の地
〜ということで私も何度か訪ねていますが、
民族的にも言語も特殊な地域でもあるバスクは、フランス側だろうがスペインバスクだろうが、
どちらの国の一般的なイメージとはちょっと違う印象を受けます。

バスクについて書かれた本を数冊読んでみると印象的だったのが、
男の子はハビエルという名前が多いということと
(かのフランシスコ・ザビエルもバスク出身でハビエルと発音するとか)
バスク人の家=カセリオが生活の中心、ということでした。

カセリオの生活!?
いつもの好奇心からその形だけでも覗いてみたくなって、
伝統的な農家のカセリオに泊まることにしました。(農家民宿を探しました)
こちらのカセリオは3階?建て
一階が牛の厩舎になっており、傾斜を利用した2階が玄関と食堂、リビング、3階より上が客室です。
こちらの農家、牛以外に豚や羊も飼っています。
別棟の厩舎にはたくさんの羊がおり、生まれて間もない子羊もちらほら…かわいい!
バスクに行くと必ず食べたいものがいくつかあります。
中でも新鮮な羊のミルクで作った
マミヤ Mamia(フランスバスクでの呼び方)=クワハダ Cuajada(スペインバスクでの呼び方)は、
杏仁豆腐のようなフルフルしたミルクデザートですが、
羊乳の流通しない日本では作れないし、あまり日持ちもしないので現地で食べるしかないのです。
(最近はフランスバスクの製品=カイユ・ド・ブルビが東京では予約制で買えるようですが)


そこで夕食のデザートとしてクワハダが食べたいと、民宿の女将にリクエストしてみると…

いとも簡単に「いいわよ。明日作りましょう。」との返事。

ついでに作り方教えていただけませんか、とお願いしてみたら…

「じゃあ明日9時にキッチンに来て。」と、うれしいお言葉に思わず両手を合わせました。

やった!


(思い返せば二人とも会話のできる共通の言語はなかったのに、なんで通じたのか不思議。)
翌朝キッチンにお邪魔すると、すでに羊乳は鍋に準備されていました。

手前の容器はクワハダ用。
ちょっと変わったこの形はカイク kaikuと呼ばれるバスク地方の昔のミルク搾乳木桶を模ったもの。
どうやって使っていたかというと、取っ手を人側にしてしゃがんだ股で挟んで乳を絞ったのだそう。
口が斜めになっていたり楕円だったりして、多少は搾乳が楽だったのかな?
(民俗博物館やチーズ農家などでアンティークを見ることができます)


このカイク型陶器にクワホ cuajoというチーズ作りに使われる凝乳酵素(いわゆるレンネット)を
スポイトで1、2滴たらします。

そこに40℃位に温めた羊のミルクをゆっくり注ぎます。
こうすることで容器のクワホが自然にまざります。

あとはこのまま固まるのを待つだけ!

あまりに簡単でクワハダ作り教室はあっという間に終わってしまいました(笑)。
豆乳とにがりで作る豆腐よりもはるかにハードルは低い感じ。

ちなみにクワホも羊のミルクも町のスーパーや食料品店で簡単に見つけられます。
バスクの人にとってクワハダは作るのも食べるのも、ごくごく日常的なのでしょうね。


以前フランス側バスクのレストランでデザートにはじめて食べて、
そのふるふるした甘さに感激し、すっかりはまってしまったクワハダ(マミア)
このままでも、蜂蜜やジャムを添えても、素材の旨味がしみじみ伝わる究極のシンプルスイーツ。


カセリオの女将にいくつでも食べていいわよと、
翌朝食のテーブルにずらり並んだホームメイドのクワハダ、
悔いの残らないよう存分食べてきました。
ごちそうさまです☆
試しにカイク陶器とクワホを買ってきて、日本のおいしいノンホモ低温殺菌牛乳で作ってみたのですが…
やはり羊乳のようなコクのある甘さにはならず、普通にミルクプリンとなりました〜。
北海道とかなら羊のミルク、売っているのかな?
フランスバスクのレストランで初体験した感動のマミアは素焼ポット入り。蜂蜜をかけて食べる。(2003年秋)
by fruitsnoirs | スペイン旅&食 
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