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マンダリンナポレオンコンクール賞状
優勝カップ
マンダリンナポレオンコンクールの賞状とカップ。どちらもお店で見ることができます。

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回線のはやい方 回線のおそい方
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マンダリンナポレオンコンクール

「国内のコンクールはある程度のところまでやったんで、最後に国際的なコンクールに出したいという気持ちがすごくありました。世界的なコンクールをやれるのはこれが最後かなと思っていて。というのは、ホテルに所属している時に、既にモンサンクレールの企画というのがあったんですね。辻口さんが土地を探したりテナントを探したりとか色々な準備を始めていて、僕もそれに誘われて。(モンサンクレール始めたら)忙しくてもうやれなくなるだろうという気持ちももちろんあったし、あとは、辻口さんと一緒にやって、辻口さんの元から出して賞を取っても意味がないというか、自分の中では納得いかなかったんです。だから、それが世界的なコンクールに出す最後のチャンスだった。この一回で必ず大きな結果を出さなくちゃいけない。
このマンダリンナポレオンというコンクールは、他のコンクールと違って、大きな飴細工、ピエスモンテ(※)を作って持ち込むようなコンクールじゃないんですね。味覚のコンクールで、しかも現場で、決められた時間の中で作るというコンクールで、今まで日本人が取れていないタイトルだったんです。もうこれしかないなと」

「世界大会に行けるのはたった一人。その代表に選ばれるために、徹底的に飴細工の練習もしたし、出品するケーキも何十回も試作して、書類選考、実技の審査と通過することができて代表に選ばれました。世界大会でも優勝しか考えてなかったんですが、当時はそのコンクールは日本人にはまず取れないだろうと言われていて、バックアップしてくれていたドーバー貿易の担当の方なんかも、『僕、優勝しか考えてないですから。そのためにできることはすべてやります』って言っても半信半疑で、『安食さん、まあがんばりましょう。(でも無理ですよ)』みたいな感じで(笑)。でも僕は『優勝するためには何をすればいいのか』『勝つためにできることは全てやろう』と考えていました。ある人は、『限られた環境、限られた道具、それで何とかするのがプロだ』って言うんですが、僕はそうじゃないと思う。優勝するためにはできることは何でもするつもりだったんで、道具も全部で100キロ以上、鉄板からホイッパー、全て持っていきましたし、シミュレーションも何十回もやって、本番に望みました」

「本番では、実技を4時間の中でやるんですが、毎年日本人は同じ場所なんですよ、テーブルが。テーブルの横はオーブン、後ろにはガス台が10個くらい並んでいて、みんなが後ろで火を使って、横でオーブンを使うんですよ。熱いんです(笑)。すごい熱いんですよ。なぜか日本人は毎年そこのテーブルに決まっちゃってるんです。『参ったな、こんなところでやるのか』って。しょうがねえなと、オーブンが3段あったんですが、3段とも自分が使う温度設定に替えちゃいました、悔しいから(笑)。」

「審査員の中に、ピエール・マルコリーニ(※)さんがいたんです。あの方は今では本当に有名な方ですが、すごい熱心な方で。僕がクリーム作ったり、ビスキュイを焼いたりすると、その都度見に来て、触ってみたり、『何なの?』って質問してきたり、食べちゃったり。審査員なのにね(笑)。ビスキュイ・サン・ファリーヌ(※)なんか、そんな珍しいものじゃないと思うんですけど、ちょっとつまんだらびっくりして『これすごい軽いね』みたいな。仲間の審査員もみんな走って来て、みんなで食べちゃって(笑)。仕上げでアントルメの上に飴細工をセットする時に、アントルメに穴をあけるんですね、柱を立てるために。抜き型で穴を抜いて、型から抜いたら、そっくり断面が見えますよね、全部層になっていて。マルコリーニさん走ってきたんですよ、『食べさせろ』って。食べたら、『いける、絶対大丈夫』って言ってくれましたね」

「実技が終わると、デギスタシオン(※)の審査で、名前と番号を全部伏せて、審査をして。審査はデギスタシオンがメインで、その次に作業、テクニック。あとはプレゼンテーションですね。デギスタシオンの審査員も30人くらいいたんですが、その中にはすごい方達がいっぱいいて、マダム・ペルティエだったり、ジャックのヴァンヌ・バルクさんとか、ベルギーではドゥヴァイヨルさん、ヴィタメールさん、マイユのパトロンの方、そうそうたるメンバーが集まっていました」

「審査が終わると場所をホテルに移して結果発表です。その時フランス人代表として、今すごい有名なんですけど、青木定治(※)が同じ大会に出ていたんです。結果を下から読み上げていくんですが、とうとう3位まで来て、3位の発表がフランス。その時点で僕の2位以上はもう確定したんですね。もうドキドキして。で、2位発表、ベルギー人の名前です。その時は全身ふるえが来て、涙がば〜っと出てきちゃって。本当にその優勝が決まった時は夢のようでしたね。

まあ、ヨーロッパでは、そんなにみんな力を入れてくる大会じゃないのかもしれないけど、僕としては本当に今までの苦労というのが全て報われたというか、達成感がわき起こってきて、本当にうれしくて。コンクール終わって、ホテルの部屋から日本に電話かけまくってね。チェックアウトの時には電話代で3万円くらい取られて(笑)」

「コンクールの話がいっぱい出てくるんですが、僕は別にコンクールで賞を取って、『どうだすごいだろう』という気持ちは全くないんです。本当に自己満足というか、自分が好きで、素直にやってただけで。だけど、今振り返ってみると、もちろんコンクールでひとつの作品を作り上げるまでの過程は、精神的にも肉体的にもすごいつらいし、(作ることそのものというより)その一つの作品を作り上げるために、自分で色々なことを想像したり準備したりという過程がすごい大切で。やった人でしかわからない達成感、充実感みたいなのも得られるし」

「マンダリンナポレオンコンクールで取ったタイトルというのは、その後の僕の人生を大きく左右しましたね、あのタイトルを取ったことによって、色々なチャンスも得られたし、色々な出会いがあった。もしあのタイトルを取ってなかったら、デフェール自体が存在しなかったと思いますし、今ここに僕はいないと思います」

※ピエスモンテ(piece montee):細工菓子
※ピエール・マルコリーニ(Pierre Marcolini):ベルギーの名ショコラティエ
※ビスキュイ・サン・ファリーヌ(biscuit san farine):小麦粉の入っていないビスキュイ生地
※デギスタシオン(degustation):試食、味の審査
※青木定治:フランス、サンジェルマンの“サダハル・アオキ"シェフパティシエ

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