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Life@Chef  
インタビュー中の安食シェフ
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安食シェフ "現在"の手
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ドリカムファンだと伺ったんですが?

「ドリカムというか、吉田美和さんですね。愛してます(笑)。愛しているというか、尊敬してますね。
最初のお店にいるときに、僕が落ち込んでいたら、アルバイトの女の子が、ドリカムのアルバム(※)をカセットテープに入れて僕にくれたんです。それを自然と聞くようになって、そのうちなんかこう、好きになってきて。吉田美和さんのことを色々知るようになってきて、あの人のエネルギーというか、人柄というのに惹かれ初めて。コンサートにも行ってみたいなと。でもなかなかチケット取れなくてね、ファンクラブ入っちゃいました(笑)。それでコンサートには毎回行くようになって」

「なんで吉田美和さんのことを愛しているかというと、歌を作って、それを人に伝えて、それを聴いた人が幸せな気持ちになっている、そのサービス精神というのをすごい持っていて。それ以上に作詞をしたり、作曲をしたりというのは、感性だけじゃできないんですよね。歌詞を書くというのは教養がないとできないですよね。曲を作るというのも、色々な音楽的な知識や情報が必要だったり、色々な音楽を聴いていないと。表現の仕方は違うんですが、その部分ではお菓子作りと共通するなと思って。僕の職人としての方向性みたいなものは、あの人にずいぶん影響を受けました。職人というのとは違うと思うんだけど、同じものを作る人間として、すごい共感できましたね。一人の女性として、内からにじみ出てくる人柄というか、美しさみたいなものもあるし、愛してます」

「吉田美和さんが言った言葉で、『私が40、50になった時に、どんな歌が歌えるようになっているか考えると楽しみだ』というのがあるんですね。『すごいな』と思いましたね。ドリカムのデビュー当時の歌って、すごく高音で、歌詞の内容なんかも恋愛の、酸いだ甘いだというストレートな感じがあったんですけど、年を重ねていくごとに、歌詞の表現の幅もぐっと広がってくるし、声の出し方も、鼻にかかったような声を出してみたり、かすれたような声が出てきたり、低音が効いてきたり、どんどんどんどん味が出てくるんですよね。なんか自分もそんな風になりたいなと。それと今はやりの、売れる歌っていうのを作ろうとしない。彼女の歌というのは本当に彼女自身の自己表現で、聞けば聞くほどのめり込んでいくような、個性もすごくありますし。そんなお菓子を僕も作りたいなと。なんか、すごい影響受けています。雑誌のインタビューで『あなたが一番影響を受けた人は誰ですか』って聞かれて、『吉田美和さんです』って言っちゃった(笑)。でも実際そうなんですよね」
「いつか会ってお話ししたいな。もしどこかで会うことがあったら、その時には自分が負けないぐらいのものを持っていたい。そうなる前に会ってしまっても、ただなんか1ファンが来たみたいな感じになっちゃうんで。自分もこの職業で人を幸せにできるような何かパワーを持っていたいなと思うんですよね」

※"DREAMS COME TRUE"(ドリカムのデビューアルバム、1989年発売)、"LOVE GOES ON・・・ "(同年発売の2枚目のアルバム)

尊敬する人は?
「尊敬しているシェフはたくさんいますけど、やっぱり男としては親父を一番尊敬してますね。親父の何がすごいって、手がすごいんです。長年大工をやってきているので、僕に軍手一枚はめたくらいの手なんです。親指なんかものすごい太くて、傷だらけで。長年こういうひとつの職業をしていると、こういう手になるんだなって。オーボンヴュータンの河田さんの手を初めて近くで見た時に、親父とそっくりの手をしているんですね。太くて傷だらけで、爪はつぶれてるし、何というか、美しい手をしているんです。ああいう手って、5年10年じゃ絶対ならないんです。僕なんかあこがれているんですけども、まだまだ細くてきれいな手をしちゃってて。なんか河田さんのような太くて傷だらけの手にはすごいあこがれます。美しい職人の手ですね。お金ばっか数え始めるとああいう手にはならないんですよね。自分も長年この仕事をやり続けて、いつかああいう太くて傷だらけの美しい手になれたらいいなと」